珈琲（日々の雑感）

ときどきふつふつと湧いてくる「おいしいおいしい珈琲が飲みたい！」

という思い。

京都は小さな街なのだけれども

こだわりの珈琲を淹れてくれるカフェがそこかしこにある。

足を運べば、願いはかなう。

しかしわたしは基本的に出不精なので

「おいしいおいしい珈琲を我が家で飲みたい！」

という思いも同じくらいふつふつと涌いてくる。

縁あって京都の芸大に編入したわたしは、単身この町にやってきた。

珈琲は大好きだけれど、淹れる道具は高知に置いてきている。

学生だから、高知にはあるから、と、なるべくスリムな生活をしようと

決めていたので、ここはドリップ式のインスタントコーヒーで

珈琲飲みたい病を抑えこむことにした。

しかし中途半端なことをするのならこっちでもいいか、と、

ザ・インスタントコーヒー、「お湯を注ぐだけ」にも手をだしたりもした。

いや、別にいいのだけれど。あれはあれで。

手軽すぎるくらい手軽なインスタントコーヒーを飲んでいると、

おいしい珈琲飲みたい病の勢いが倍増してしまったようで、

「おいしいおいしい珈琲を我が家で飲みたい」のフレーズが頭の中で頻繁に出現し、

脳みその溝にどんどんこびりついて離れなくなり、いつの間にか

通学の道すがらにある小さいけれど素敵な雑貨屋さんにある、

いつもは見ないようにしていたKONO式のドリッパーを手にしていた。

1〜2人用のコロンとしたデザインで持ち手が欅の、、、

あぁ、かわいくてキレイ。

スリムな生活を、のフレーズはどこかに飛んでしまっているので、

突き進む。次は豆である。

京都のサブカルチャーの元祖担い手、若かりし学生の頃にも自転車でよく通った

『恵文社一乗寺店』。

ここにはおいしい珈琲を我が家で飲みたい人のためのグッズがひと通り揃っている。

これまたいつもは見ないようにしていた、こだわりの豆が置いてある棚に一直線。

場所ははっきりとわかっている。近づかないようにしていただけだから。

tonbi coffeeの恵文社ブレンド。

（高崎市にあるのに製造日は最近だった。

聞けば、1週間に一度焙煎してオリジナルのパッケージに詰めて

送ってくれているとか。そんなこだわりが嬉しい）

200ｇ入のパッケージを嬉々として買い、これで願いがかなうと家路に急ぐ。

わたしは珈琲が大好きだけれど通ではない。

お酒もしかり。大好きだけれど通ではない。

そして、ほんま通やないな、と思った瞬間が次にやってくる。

家でichijojiという名の珈琲パッケージを開けると、・・・豆だった。

いや、豆を買ったんだから当たり前である。でも・・・

あたしみたいなこだわりの珈琲を飲みたかったら自分で挽いてね、

とにんまり笑った顔が豆という豆に浮かび上がっていた。

・・・ミルが必要だ。

ゴリゴリ挽いてやる。

その日は遅かったので、翌日、昨日のことだ、再び恵文社へ。

（豆の隣にミルがあったなぁ。）

昨日は、重なる願いがかなってゴリゴリと挽いた挽きたての珈琲豆で

珈琲を淹れた。丁寧に丁寧にお湯をそそいだ。

ふくよかな味わいのある淹れたての珈琲。

財布は少し軽くなったが、幸せだ。

丁寧に生活する、ということが今年のテーマの一つであるが、

この珈琲セットはその一翼を担ってくれそうだ。

ハンディなミルで珈琲を挽く時間。これもなかなかのものである。

ひとつの発見だ。

なんて、なんのことはない、

たくさんの道具を買ってしまった言い訳をしているだけである。